Latina
2015/2月号の新譜案内によれば26才のカリオカ、ジャン・シャルノーのデビューアルバムとのこと。「Matrizes」とは泉、根源を表します。シャルノーのギター表現の心髄がこめられているのでしょう。収録されている全11曲はすべて彼のオリジナル曲で、8曲はギター独奏、3曲はコントラバスとドラムとのトリオ演奏です。ジャン・シャルノーはエリオ・デルミーロ、ギンガ、マルクス・タルデッリを師と仰ぎ敬愛していて、そのギンガとマルクス・タルデッリから正統派音楽とのお墨付きの言葉がブックレットにあります。ギンガ顔負けの複雑な内声の動き、際立つメロディーライン。全く窮屈さを感じさせないが抑制の利いたアゴーギク。ギターサウンドの色彩感が素晴らしい。独特の残響で好みは別れるかもしれませんが、息づかいの聞こえるライヴ感のある録音も個人的には好感が持てます。3曲目のタイトルは「Choro
pro Hélio」とても素敵なショーロの小品です。きっと敬愛するエリオ・デルミーロに捧げられているのでしょう。7曲目の「Valsa em Dó Sustenido
Menor」は今は亡きギターの巨匠、「アンドレ・セゴビアの思い出に」という副題が添えられています。8曲目の「Guinguiana」、意味は不明ですが、何となく綴りから察するに、「ギンガ風」を意識した曲なのでしょうか、分散和音とメロディーが複雑に絡み合った深遠な曲です。9曲目の「Voador(飛翔)」ではトリオ演奏での軽快なサンバ調の曲で、歯切れの良いギターソロが聞けます。